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 −神々の住む島−

   バリ島
                              
1.はじめに   常夏の島バリに行ってきました。  昔、「南太平洋」というミュージカル映画がありました。朗々と歌われた  「バリ・ハイ」という曲のメロディが今でも記憶の底に残っています。  この映画が撮影されたのはバリ島ではなく、物語もバリ島と特定されていた  わけではないようです。しかし、映画「南太平洋=バリ島」というイメージ  があるのではないでしょうか。   近年、日本から沢山の若者がバリ島へ観光に出かけています。  マリンスポーツなどが主な目的だろうと思います。私はマリンスポーツには  興味がありませんが、若いうちに(!)訪ねてみることにしました。 20071024-28bali (1).jpg                     キンタマーニ高原からの眺望 2.祈り   バリ島は祈りの島と言えましょう。  多くの人々がさまざまな場所で祈りを捧げ、日常の生活の中に祈りが溶け込  んでいるようです。 20071024-28bali (54).jpg  郊外の家には、敷地の北東の 位置に祭壇があります。  神聖な場所のため、家人以外 は入れないように閉められてい ます。 ←農家の祭壇 (奥の三角屋根は隣家) 20071024-28bali (8).jpg  市街地のあちこちに祭壇があります。 門の中の祭壇前では人々が座って祈りを捧げてい ます。  観光客は門の中に入れません。 ←祭壇を飾っている女性   ↓一般道路に面した祭壇  20071024-28bali (9).jpg 20071024-28bali (23).jpg  由緒ある神社には沢山の参拝者が訪れ ていました。  ←神社内で祭りを待つ人々   ↓熱心に祈りを捧げる人々  20071024-28bali (22).jpg 20071024-28bali (24).jpg  心の中に悪い考えが潜んでいる人は、 聖水で拭い去ることができます。 ←聖なる水で身体を清める人   ↓祭りで盛装して歩く人  20071024-28bali (10).jpg   インドネシアは代表的なイスラム教の国です。  しかし、バリ島は90%以上がヒンズー教徒だそうです。    毎日、神様に供物が捧げられます。  供物は、植物の葉(?)で編んだ皿に花が載せられています。手作りなので  女性の日課になっているようです。 20071024-28bali (55).jpg  毎朝新しい供物がそれぞれの家で捧げられます。 空港の中の店の前にも供えられます。島のいたる所 が供物であふれています。   3.踊り   バリ島に伝わる代表的な二つの踊りを見学しました。  ケチャダンスとバロンダンスです。 20071024-28bali (11).jpg 切立った断崖の上にお寺があり、 そのお寺の近くに踊りの野外会場が ありました。  日没頃から踊りが始まりました。 ←お寺を臨むダンス会場  ↓日没を背に始まったダンス 20071024-28bali (12).jpg   およそ40人の裸の若者が座っています。  その若者たちの間に、王子、妃、魔王などの登場人物が現れ、物語りが進行し  ます。 20071024-28bali (13).jpg  若者たちは、約1時間の踊りの大半を、 「ケチャケチャ、ケチャケチャ」と唱え続 けます。 ←魔王の登場   ↓妃を閉じ込めた火の輪  20071024-28bali (14).jpg   ケチャダンスは、バリ古来の土着宗教である太陽崇拝と、海から魔物が上  がってこないように祈る儀式が発展したものだそうです。   これを演ずるのは、地区の人たちのボランティアだそうです。   バロンダンスはお寺の一角で昼間に演じられていました。  バロンダンスも物語が約1時間進行します。   物語は、良い魂を表わす動物バロンと悪い魂を表わす動物ランダの戦いを  表わすそうです。シヴァの神も登場します。 20071024-28bali (52).jpg ←門の間から現れる登場人物  ↓バロンの登場 20071024-28bali (53).jpg 20071024-28bali (20).jpg ←美女の登場   ↓女王(だったか?)の踊り  20071024-28bali (19).jpg   バリでは、良い魂と悪い魂がいつも同時に存在すると信じられているそう  です。二つの魂の戦いはどちらの勝利でもないままに終わる、という物語に  私は感銘しました。 4.飾り   島のいたるところで複雑な装飾が見られます。   20071024-28bali (6).jpg  石造の寺院は、門も建物も複雑な 彫刻が施されています。 ←通りに面した寺院 20071024-28bali (3).jpg  美術館はもちろん、通りでも彫刻を楽しむことができ ます。 ←美術館を飾る彫刻   ↓  20071024-28bali (15).jpg  ↓通りに面した塔 20071024-28bali (7).jpg 20071024-28bali (29).jpg  村の中心部にあった物見台にも装飾が施され ていました。 ホテル前の海岸の入り口は、椰子の葉で飾られ ていました ←村の物見台       ↓満月の海岸    20071024-28bali (45).jpg 5.民家   20071024-28bali (48).jpg  島内の家並は沖縄に似ているようです。 平屋が多く、屋根は茶色の煉瓦で葺かれ、 周囲は石か煉瓦で囲われています。  ←海岸に近い村      ↓内陸部の村   20071024-28bali (30).jpg   古い伝統的な村の民家を見学させていただきました。  家は低い塀で囲まれており、北側の入り口を入ると左手(敷地の北東の位置)  に、上述「2.祈り」の最初に掲げた写真の祭壇が設けられていました。 20071024-28bali (31).jpg  入った右手には炊事場がありました。 煮炊きは釜土でやっているようです。 ←炊事場       ↓釜土    20071024-28bali (32).jpg 20071024-28bali (33).jpg  庭には鶏が放し飼いされています。 闘鶏用の鳥は竹籠に入れられていました。 ←放し飼いの鶏      ↓闘鶏を入れた籠   20071024-28bali (37).jpg 20071024-28bali (34).jpg  小さな建物が数軒かたまっています。 数家族で共同生活をしている模様でした。 ←軒が接している家     ↓洗濯物を干している軒先  20071024-28bali (38).jpg     水道が引かれていますが、生水は飲めないので、煮沸して飲むそうです。  お風呂に入る習慣はないようです。   応対してくれた中年の女性二人は背が低く、ほっそりとしていました。  手仕事をしていた老婆二人も背が低く、ほっそりしていました。  村の雰囲気からみて、訪ねた家は中流クラスと推測されましたが、自給自足  で静かに生活している様子でした。日本では戦後間もない頃か、もっと遡っ  た時代の農村風景が想い起こされました。 6.竹   バリでは竹が豊富にあります。  最初に見かけたのは、二階建ての家の工事に、梁を支える支柱として太い竹  が林立している風景でした。  2年前に訪れた上海では、3−4階建てビルの足場を竹で組んでいましたが、  バリでは高層建築がないので足場作りは必要性がないようです。 20071024-28bali (28).jpg  瓦の代りに竹を使った家がありました。 割竹の内側を上にしていたので、耐久性 を上げるためには外側を上にする工夫が 必要ではないか、などと気になりました。 ←竹葺き屋根の家   ↓道端に積んだ竹  20071024-28bali (26).jpg 20071024-28bali (40).jpg  こちらの竹は何故か群れて育つようです。 日本の竹林のように竹同士の間隔がなく、一箇所 に沢山まとまっています。 小家族制と大家族制の違いでしょうか。 ←根元がまとまっている竹   ↓  20071024-28bali (36).jpg   横笛に使えそうな篠竹も見かけました。  節の間隔は50センチ近くありましたので、五本調子などの長い笛も作れそ  うです。もっとも、日本のように厳しい気候で育った竹でないと深い音が出  ないだろう、などと身びいきなことを考えました。   バリでも竹の笛が使われていますが、縦笛ばかりで横笛はないということ  でした。 7.交通   バリ島内には鉄道がありません。  去年(2006年)、私の住んでいる野洲市を訪れたバリからの使節団の人  たちは、新幹線に乗ることを大変楽しみにしていました。  観光バスは沢山走っていますが、路線バスは見かけませんでした。   自動車に負けぬ位の沢山のバイクが目立ちました。  3人乗り、4人乗り(夫婦と子供二人)のバイクも見かけます。小学生くら  いの子供が母親らしい大人を乗せている姿も見かけました。   それ以上に身体がこわばったのは、アクロバット的なバイクでした。 20071024-28bali (17).jpg  車と車の僅かな隙間をぬってバイクが 割り込み、追い抜いて行く神風バイク! です。  事故が多いだろうと思っていたら、や はり発生現場を見かけました。 ←バイクの多い道路   ↓自動車は左側通行  20071024-28bali (27).jpg 8.友好   ホテルに着いて二日目の夜、テレビをつけてみました。  チャンネルを移動させていたら、NHKの日本語番組が映りました。日本と  同時放映です。   バリ島はインドネシア国の一部であり、インドネシアは独立運動の頃から  親日的なので、という理由でしょうか。バリ島経済の多くは観光収入に負っ  ていると思われますが、観光客の6割は日本人である、という事実にも支え  られていることでしょう。 20071024-28bali (46).jpg ←ホテルで見た日本語番組   ↓日本製陶器が使われているトイレ  20071024-28bali (51).jpg   島の至るところで日本製の製品を見かけます。  空港に着いたとき、まず眼に映ったのは日本製の液晶ディスプレイでした。  電気製品で眼についたのは日本製ばかりでした。   自動車もほとんどが日本製です。車が左側通行というのも歓迎です。  私が見た限りでは、ホテルやレストランのトイレには全て日本製の陶器が使  われていました。    もうひとつ強調したいのは、どこでも喫煙OKというおおらかさです。 9.時間   バリ島へ行ったら撮影してみたい、と想定していた光景がありました。  実は、南半球への旅行は初めてなのです。そこで、屋外に設置されている時  計と建物の日陰の方向を写しておけば、南半球に来た記念になるだろうと考  えたのです。しかし、戸外はおろか、ホテルやレストラン、宿泊室内にも時  計を見つけることはできませんでした。 20071024-28bali (41).jpg  会社の仕事は夕方4時半には終わるそ うです。  人々の動作はゆったりとしています。 (神風バイクだけは別格です) ←サーファーたちの夕暮れ   ↓クタのレストランから見た夕陽  20071024-28bali (43).jpg   宿泊したのはバリ風の建物の大きなホテルでした。  レストランの前と宿泊棟の中庭にプールがあったので、中庭のプールサイド  で一日過しました。   しかし、旅行代を稼ぎ出そうと請け負った仕事の書類を見ておかなければ  ならなかったため、フランス語を話す娘が近くに来ても、その豊かな胸元に  まで眼を向ける余裕は、これっぽっちも、ありませんでした。 20071024-28bali (49).jpg ←ホテル中庭のプール   ↓吹き抜けのレストラン 20071024-28bali (16).jpg 10.おわりに  20071024-28bali (5).jpg  米は年に3回収穫できるそうです。 水田は平地もあれば棚田もあります。 いずれも植え付けと刈り取りは手作業だそう です。 ←山間部のライステラス   為替は1円=77ルピアでした。  レストランで飲むビールは30,000ルピア(約360円)など、数字の     大きさに驚かされます。民家で50,000ルピアで買った縦笛は、空港内  の店では半値でした。ここでは値段は買い手が決め、金持ちが貧乏な人に施  すのは当たり前、ということを本で読んでいたので納得しました。   今回のパックツアー参加者は私たち二人だけでした。  親しくなった38歳の男性現地人ガイドは、親切に私たち年寄りの面倒をみ  てくれました。働きながら高校を卒業した彼は、日本語学校に通い、現在は  テレビの日本語放送で勉強しているそうです。日本の歌謡曲が大好きだそう  で、上手な歌声を披露してくれました。                  (散策:2007年10月24〜28日)                  (脱稿:2007年11月08日) -----------------------------------------------------------------
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